【英語学習】うつ病患者と学ぶ~VtuberでEnglish!~【hololive english/NIJISANJI EN/etc...】

May 24, 2023

はじめに

ここでは、hololive EnglishNIJISANJI ENなどといった、
Vtuberにまつわるトピックを取り扱う。

もしあなたが、英語を勉強したいと考えていながら、「バチャ豚、近寄るんじゃねぇ!」「Vオタは隔離しなきゃ」などと考え、Vtuberを拒絶しているなら、
一度その固定観念を捨てて、彼ら/彼女らのことを 「着ぐるみを着たごくごく普通の一般人(配信者)」 だと思ってこのエントリーを読み進めてほしい。(それかブラウザバックしてくれ)

先にVtuberで英語を学ぶメリットを、1つ明確に示しておこう。

私たちが接する可能性のあるほとんどの英語話者は、
スピーチの訓練を受けたアナウンサーではなく、ごくごく普通の一般人である。
英語圏のVtuberの鑑賞を3日程度続けると、誰でも分かることがある。
教科書のような丁寧な発音や文法で話している配信者なんて、ほとんどいないのだ。

ネイティブ非ネイティブ関わらず、「一般人の『リアルな英語』をたらふく聞ける」。
これだけでも十分なメリットだ。

私は誰? 何している人?

うつ病で仕事を辞めた無職だ。
去年の7月に仕事を休み始め、快復が見込めなかったため、10月で退職した。
リハビリとして音声の編集案件を承っていたりもするが、それはまた別の話。

しばらくの間、1か月ほど何もできず、ただ昼寝するだけの生活を送っていたのだが、
2~3か月ほど経つと、「何かやらなければ」という強迫観念染みたものが湧いてくるものである。
「ニイチャン、俺はそんなことねぇぜ」と言う人も多いが、残念ながら私の知る限り8割以上の人が同じ感情を経験している。

私はその強迫観念染みたものの昇華先に、「英語学習」というコンテンツを据えた。

日本人が忙しなく通勤し、始業業務をに追われているであろう午前という時間は、多くの英語圏におけるゴールデンタイムである。
つまり、ひたすら英語ネイティブの配信を視聴することができる。
私はそこに、「無職引きこもりやる気ゼロ」属性と「英語学習」にシナジーを感じた。

さて、こういった英会話について取り扱うエントリーでは、

「TOEIC 800点取得した!」
「アメリカ旅行で英語が通じた!」

などといった具体的な実績を記載するのが常なのだが、私には何の実績もない。

Guys、ここはチラ裏だ。
筆者が何者かに関わらず、あなた自身がこのエントリーの情報の質を評価すべきだ。
何の因果かこのエントリーにたどり着いたあなたは、私の紹介する情報で新たな知見を得られるかもしれないし、時間を5分程度無駄にするかもしれない。

強いて言えば、私は現在ネイティブや非ネイティブの英語話者と毎日のように雑談しているし、
私のTwitterを見てもらえれば分かるように、ある程度自然な英語を自力で書くことができるようになっているし、なんなら英語アカウントも作成した。(全然繁盛してないがな!)
その程度には英語についてある程度の自信がついた。

まぁうつが晴れたら、TOEIC900点でもIELTS8.0ベルトでも取って見せよう。自信はある、そのくらい勉強したし、まだ勉強に励むからな。
何故このような妄言を吐き出せるほどに自信をつけるに至ったかが気になったら、是非このエントリーを読み進めてほしい。

Vtuberで勉強する理由

1. お布団のなかで勉強できる(ほくほく)

うつ病の朝は早い。(私の場合は)
社畜時代に染み付いた強迫観念染みた何かのせいで、いつもアラームが鳴る 06:00 A.M. に起床してしまうのだ。アラームはもう鳴らないと知っているのにね。

そして、一日を通じて何もやる気が出ない。
これには少し語弊があって、実は「やりたい気持ち」という心情は持ち合わせていことがほとんどである。
「今日は外に出かけたいな」「良い天気だからバイクで」「買い物が」「勉強を」などなど、様々なモチベーション自体は失っていないのだ。
しかしながら、ベッドから起き上がることができないのが、うつ病の辛いところだ。

YouTubeというメディアは、幸か不幸か、そんな寝たきりの人間にも、受動的な娯楽を提供してくれる。
ゲームのように複雑な操作を必要とせず、読書のように眼球の運動や手の動きですら必要としない。
ただ垂れ流すだけで好きな情報が得られる。
これを英語の動画や配信に置き換えたら、不思議なことに、ほとんど手を動かさずに英語が勉強できる!

もちろん、真剣に勉強するためには集中して聞き取り、
不明な語彙が出る度に辞書を引いてノートを取るなど、ある程度の頑張りは必要だ。

2. 膨大な教材の量

はじめに述べた通り、「リアルな英語」をほぼ1日中聞いていられる。
ほぼ1日中とは文字通り、おはようからおやすみまで、何ならおやすみ中でも、常に英語の配信を聞いていられるということだ。

ご存知の通り、2023年現在もなお空前絶後のVtuberブームは成長の一途を辿り、
それは日本国内にとどまらない。

日本においてVtuber業界の二大巨頭とされる、「ホロライブ」「にじさんじ」が英語話者向けに展開した、

だけでも、合計40名もの配信者を抱えている。(ホロEN10名/にじEN30名 ※2023年5月現在)
(おもににじENが多いからなのだが)これだけでも、1日中配信を垂れ流すことに事欠かない。

その他にも、Vtuberを展開する事務所は、

  • 日本企業が運営し、ソニーミュージックと提携するPRISM PROJECT
  • サンフランシスコに拠点を置くVShojo
  • カナダに拠点を置くPhase Connect
  • イスラエル(!?)に拠点を置くIdol-en

などを中心に、世界各国に点在している。さらに、数え始めると枚挙にいとまがない個人勢を含めれば、確実に1日中英語の配信を垂れ流すことが可能だろう。

3. 多様性と「様々な英語」

ご存知の方は多いと思うが、日本人が教育課程で学修した英語はいわゆる「アメリカ英語」で、
これも有名な話だが、「アメリカ英語」と「イギリス英語」では発音やアクセント、イントネーションや音韻が根本的に異なることがある。

以下のような発音の違いは有名だ。

- "dance"の発音
  - イギリス: /dɑ:ns/と発音("a" の音は長母音)
  - アメリカ: /dæns/と発音("a" の音は短母音)
- "car"の発音:
  - イギリス: /kɑ:/と発音され、"r" は発音しない
  - アメリカ: /kɑr/と発音され、"r" を発音する

また、“cookie”と”biscuit”という表現の違いについても有名だ。 甘い焼き菓子について、アメリカでは”cookie”と呼ばれるが、イギリスでは”biscuit”と呼ばれる。(アメリカ英語の”biscuit”は朝食用の軽いパンを指す)

さきほどから「リアルな英語」と表現しているが、我々日本人が様々な方言を話すように、英語にも様々な方言がある。
そして、英語は世界共通語(Lingua Franca)として多くの人が学んでいるが、明確な標準語というものは存在しない。

実際、特定の国のビザ取得の基準とされる英語の試験IELTSのリスニング問題では、カナダやオーストラリア、アメリカやイギリス、様々な訛りを持った話者が設問を読み上げる。
残念ながら、あなたがひたすらTOEICを勉強して、アメリカ英語のリスニングをマスターしたと豪語しても、
いざ相対した英語話者はヘブライ語を母語としながらイギリス英語を学んだ、独特な発音であなたを苦しめるかもしれない。

もちろん、たかだか数か国のVtuberの配信を長く視聴したとて、
網羅的に英語の発音を学べたとは言えない。
しかし、様々な人種の英語を継続して聞くことで、地域差による英語の些細な(あるいは膨大な)違いを自分の頭で吸収・処理する訓練にはなるのでははなかろうか。

4. 推せる

(小声で) 実は私、アイドルやVtuberや声優に対して「推し」という気持ちを抱くことにとても抵抗感があったのですよねぇ…… しかし毎日見てるとやっぱり愛着とかが湧くわけでして。
今ではすっかりメンバーシップに入ったりグッズを購入しちゃうようになっちゃいました……私……私。

とはいえ、「好きこそものの上手なれ」という言葉がある通り、
「推し」がいれば、その言語を理解したくなるのは当然の感情かと考えている。

実際、前項3で挙げたように、様々な英語がある中、
なぜか私はオーストラリア英語が一番聞きとれるし、
似たような記事で「コイツの英語、聴き取りづらいからオススメしねぇぜ」と揶揄されていたVtuberの英語も、他より明瞭に聞き取れる。

好きな配信者を見つけて、常駐するようになったら、だんだん当人の英語に慣れ親しんでいくものである。

例えばあなたがGawr Guraのことが大好きだったとしよう。
もしあなたがGawr Guraの配信を理解できるようになることを目標とするなら、ひたすら彼女の英語を聞くと良い。
あなたが真剣に彼女の配信を集中して視聴し、1年も続ければ、ある程度~ほとんどを聞き取れるようになっているだろう。

どうやって学習するの?

以下はあくまでも私の勉強方法であり、
昨今世間をにぎわせているChatGPTのGPT-4先生とともに考えた英語学習方法である。

そのため、これが最適な学習方法とは必ずしも宣言しない。
私の学習方法を記載しているので、参考にできる箇所があれば適宜かいつまんでほしい。

1. 切り抜きでは勉強しない

Vtuberで英語学習というトピックは、割とごく一般的で、Googleで「Vtuber 英語学習」などと検索するだけで数十件の記事がヒットする。
多くが切り抜きやアーカイブを推奨しているようだが、私は基本的に配信を視聴しており、切り抜きは推奨しない。
(もちろんケースバイケースで、忙しい人は隙間時間を利用できる切り抜きがベストかもしれないが)

多くの日本人ユーザーによる切り抜きには、ありがたいことに日本語訳が丁寧に表示されている。
字幕をつけることすらそこそこ大変な作業なのに、わざわざ翻訳して動画を投稿している人は本当にすげーよ。私も休憩するときによく見てるので頭が上がらない。

しかしながら、私は日本人である。
日本語字幕がある限り、日本人リスナーの脳は自動的に日本語の理解に依存する。
それは日本語の理解が身近で簡単な作業であるためだ。

その結果、英語の音声に焦点を当て、新たな表現を理解したり、語彙を増やしたりする機会が減少してしまう。
また、自分で英語を理解しようとする意識が薄れ、結果的に学習効率が低下する。

「英語脳を作ろう」などという高尚な理念を掲げているわけではないが、
英語は英語として理解すべきである。

逆に、海外ニキたちが投稿している切り抜きなんかは非常に教材として役に立つ。
分かりやすい英字幕しかないからだ。
もし時間がない人は、それらを何度も何度も繰り返して聞くことが効果的だろう。

2. 可能な限り配信にリアタイして、参加する

独りぼっちは、寂しいもんな。

英会話のグループレッスンと同じであるとイメージしてほしい。
Vtuberはバーチャルライバー(ストリーマー)などとも呼ばれ、生配信でリスナーと同じ時間を共有する。
リスナーは、雑談やゲーム実況などにおいて、配信者が発言した予想外の言葉や、苦渋の決断、試行錯誤、放送事故リアルタイムに楽しむことができる。
(私のようなうつ病の引きこもりにとっては、「外界とのリアルタイムな繋がり」が非常に有意義な時間に思える)

さて、配信では字幕(ライブキャプション)が利用できない。 これがミソである。

字幕なしで視聴することによる学習の利点は、主に2つある。

  1. 聴解力の向上:視覚情報に頼ることなく聴覚だけで内容を理解する力を鍛えられる
  2. 実際の会話への適応力・推論力の向上:日常生活において不明な語などに遭遇した場合における、推論力を鍛えられる

以上から英語を母国語としない話者がリアルな英語使用環境に適応する能力を育てる上で、
字幕への依存性を低減することは非常に有用である。

もし英語が聞き取れなかった場合は、シチュエーション、前後の文脈、さらにはコメント欄の反応や相手の表情からニュアンスを汲み取ることが重要だ。(コメントもまた教材足り得る)
日本語においても、実はほとんどの人が相手の話を6070%程度しか理解しておらず、残りの3040%を推論で補完しているという。
※ ただし、語彙や文法力が乏しい場合は難しいかもしれない。そんなときは次項[3. 聞き取れないよ、ドラえもん](#3. 聞き取れないよ、ドラえもん)を参照のこと。

同時接続数がが2~3桁の配信だと、配信者がコメントを拾ってくれる可能性もある。
つまり、「聞く」→「理解する」→「(感想を)話す」 という双方向的な会話を疑似的に体験することが可能である。

もちろん日本語でコメントするのではなく、英語でコメントする。

恥ずかしいかもしれないし、伝わらないかもしれない。
しかし、残念ながら、言語の習得には「聞く」「話す」「読む」「書く」のスキルが必要不可欠である。
とりわけ、「話す」「書く」は自分から積極的に行動しないといつまで経っても得られないスキルである。
もちろん、マナーやルールは遵守の上、恥ずかしがらずに、文法のミスを恐れずに、コメントするという第一歩は、偉大な一歩である。
もしどうしても恥ずかしければ別アカウントで凸ってもいいだろう。とにかく、アウトプットは何よりも大事であるとお婆ちゃんも言っていた。

配信者が読み上げるコメントは総じて、適切なコメントである。
配信者が発した言葉を理解した上で、迅速かつ適切な反応を返す必要があるということだ。

これって立派なコミュニケーションじゃありませんかねぇ……?

3. 聞き取れないよ、ドラえもん

しょうがないなぁのび太君。 以下を試してみるといい。

実は、リアルタイムの配信でも、アーカイブを待たずにかなり高精度なライブキャプション(字幕起こし)が利用できる時代だ。
ぶっちゃけ、私も常にライブキャプションをONにしながら配信を鑑賞している。なるべく見ないようにしている……
とりわけ、Pixel7系統のライブキャプションはわずかに遅いが非常に優秀でびっくらこくだろう。(なんと日本語にも対応していて、自動翻訳もしてくれる)

4. 語彙の拡充と基礎学習、復習

配信で知らない文法や語彙に遭遇したときは、必ずノートにメモを残し、すぐに調べるのが重要である。
そして、並行して基礎を定期的に振り返るのは必要不可欠なのかもしれない。

私なんかはまだまだペーペーなので、Duolingoを毎日欠かさずやっているし、
気が向いたときには、非常に有名な英語で書かれた英語の文法書を読むようにしている。

さらに、恥ずかしいのであまり人には言わないのだが、毎週1度英語の日記を書いている。

「楽して英語を習得」などと豪語しながら、「基礎が重要です」 などとのたまうのは非常に心苦しいが、事実である。

幸い、文法も語彙もアプリや電子書籍で学べるし、
しっかりと座学をした上で、少し「それっぽい」言い回しができるようになると非常に楽しい。
イキりながら、推しのコメント欄に入力するのだ。

5. 寝ながら英語を聴く

もはや1日中英語の配信を聞いていられる、と述べた。
朝7時ごろはアメリカにおけるゴールデンタイムである。
そして、夜23時ごろは、ヨーロッパにおけるゴールデンタイムである。

ヨーロッパ情緒あふれる英語を聴きながら、ココアを一杯飲んで歯を磨いて寝るのだ。
「睡眠学習」は科学的に根拠がないものの、
私の場合はこの「英語垂れ流し睡眠」を実施したときに、よく英語の夢を見る。

夢の話を始めるとオカルト染みてくるのでこれ以上は触れないが、
何より、英語に対する意識を高めたまま翌日を迎えることができるのだ。

ホロENの話をしよう。
Takanashi Kiaraは、
オーストリア在住のVtuberであり、23~01時ごろに配信を始めることが多い。
私は彼女の配信をよく見る。見るっつーか聴きながら寝る。
(そのせいか、彼女の英語はかなり独特な発音であるはずなのに、ホロENの中でもダントツに聴き取りやすく感じている)

そして、翌朝目覚めると、
Watson Ameliaや、
Ninomae Ina’nisの配信が流れていたりする。

何が言いたいのかと言うと、自動再生やレイド(リダイレクト)により、
「朝起きた瞬間に初めて聴く言語が英語である環境」を構築できるのだ。

この科学的根拠もまたないが、朝すぐに英語を聴くことで、英語を聴くモードに切り替わってくれる。
そしてまた英語をたくさんインプットする習慣を形成できるわけだ。

そうして、散歩の準備をするのが私の1日の始まりである。

ちなみにホロENは各配信者の人気が高く、同接はときに10K人を平気で超える。
そのため上で述べたチャットへの参加してのコミュニケーションは、難易度が高いと言えるだろう。
(ちなみに英語圏Vはおおよそ日本語でコメント打った方が読まれやすい傾向があるよ)

おわりに

私が無職になって1年近く続けた勉強法が上記の通りである。
もちろん、他にもヨーロッパやアジアやアメリカのオタクと言語交換をしたり、
英作文を書いてネイティブに添削してもらうなど、他にもこそこそ努力はしているが、
英語学習の軸となったのは上述の通り、Vtuberの配信だ。

この手の話題になると、「誰の英語が聞き取りやすいのか、誰の配信が英語学習向けなのか」という比較をし始める人が多い。
正直、クソ食らえである。
私の意見としては、上で述べた通りであり、
長く視聴した配信者の英語が自然と聞き取りやすくなる。

聴きたい、応援したいと思ったVtuberが、あなたにとって一番の先生である。


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音声を編集していたり、アプリケーションを作ったり、趣味でダークウェブの動向を調査したり。 赤宮むむ